2009年02月24日

お買い物はよく考えて

変わらず鈍い頭痛とゆるい吐き気と共存しております。

さ、気を取り直して。
今日は長いです。前々から自分の中で考えていた問題ではあったのですが、某誌のエッセイで、見事に代弁してくれているものがあったので、無断ですが、一部を省き、転載したいと思いますです。
今人気沸騰中の作家、東野圭吾さんによる、文章です。

「著作権」「印税」。
これらの言葉になんらかの興味がある人には、是非読んでもらいたい。
いや、それだけでなく、少しでもモノづくりに関係している人にはお薦めしたい。それが例えば食品であろうが衣類であろうが。電子機器であろうが伝統工芸品であろうが。
著作権うんぬん言っておいてお前が無断で文章転載するなよ、と言われれば言い訳のしようもないのですが、こういった記事を読む機会の少ない身近な音楽・文学ファンにもどうにか伝えたい内容なので、理解を示してくれる方は、自分の顔に免じて勘弁してもらうと同時に東野圭吾さんの本を是非、書店で、手にとって欲しい。

〜「本は誰が作っているのか」〜
〜前略〜
本は一体誰が作っているのだろう。印刷会社と製本会社の人たち?いや、そういうことではなくて、誰のおかげで本は作られているのかということだ。
本はただでは作れない。誰かからお金を貰う必要がある。では誰から貰うのか。いうまでもなく、それは書店で本を買ってくれる人からだ。しかしまだ完成していない本に金を払う読者はいない。
そこで金の経路は次のようなループになる。

読者が書店で本を買う→その代金が書店等を通じて出版社に入る→出版社は経費などを差し引いた利益で作家に印税を払う→作家はその金で生活しつつ、次の小説を書く→作家は書いた原稿を出版社に渡す→出版社はそれを本にして書店に配る→書店に本が並ぶ→読者が書店で本を買う

本を巡る金の動きは以上である。ほかには何もない。出版社も作家も、書店で本を買ってくれた人のおかげで生き延びている。
たとえば図書館の本を何百人が読もうとも、出版社や作家らには一銭も入らない。
また、ブックオフなどの新古書店で本がどれだけ売れようと、出版社や作家には何の関係もない。
一冊の本が生み出す小さな利益の積み重ねだけが出版業界を支えている。しかもその積み重ねが常にプラスになるとは限らない。期待したよりも売れなければ当然赤字となる。そして小説にかぎれば、利益と呼べるほどの黒字を生み出すものはほんの一握りだ。出版社は多くの本を赤字覚悟で出している。売れないとわかっている作家にも仕事を依頼し、原稿料や印税を支払う。なぜか。
それは未来への投資なのだ。
私は作家の世界というのは相撲部屋と同じだと思っている。
多くの方はご存知だと思うが、相撲取りで給料が貰えるのは十両以上だ。いわゆる関取だ。幕内力士になればさらに給料が増え、三役、大関、横綱と上がっていく。
しかし相撲部屋には十両に上がれない力士の卵がたくさんいる。当然彼らは無給だ。そんな彼らを養ってくれるのが相撲部屋だが、その金は基本的に相撲協会から出ることになっている。
ではその金は誰が稼いだのか。
そりゃあ幕下や三段目だって相撲はとっている。しかし残念ながら多くのお客さんは、彼らの相撲を見るために料金を払っているわけではない。お客さんたちの目当ては、やはり十両以上の取り組みだ。
つまり横綱をはじめとする関取たちががんばってお客さんを呼んでいるから、協会にお金が入ってきて、十両に上がれない力士たちを養える、ということなのだ。
作家の世界もこれと全く同じである。
デビューして間もない頃、私はある編集者とこんな会話を交わしたことがある。私は彼のところで本を出したばかりだった、少ない部数だったが、やっぱり初版止まりで、しかもどうやらかなり売れ残っているようだった。
売れなくて申し訳ない、という意味のことを私がいうと、彼は笑って手を振った。
「東野さんで儲けようとは思っちゃいませんよ。うちには西村京太郎さんや赤川次郎さんの本がありますから、そっちで稼がせてもらいます。東野さんの本が少々売れたってその先生方の利益の誤差範囲ですから」
ずいぶんと失礼なことをいう人だと思ったが、今から考えると彼の意見は正しかった。後で試算してわかったことだが、当時の私程度の発行部数では、黒字を出したところで編集者一人の給料を賄える程度だったのだ。
私はたしかに赤川次郎さんや西村京太郎さんに食わせてもらっていた。あの方々がもたらす利益があるから、出版社は私のような売れない作家にも仕事をくれたのだ。いずれこいつも稼げるようになるかもしれない、という期待を込めてのことだ。もちろん私だけが特別に目をかけてもらったわけではなく、同じような予備軍はたくさんいた。相撲部屋に無給の卵たちが大勢いるのと同じだ。出版社は数多くの若手作家に投資し、将来この中から一人でも二人でもいいから赤川次郎さんや西村京太郎さんのような横綱が出現することを期待したわけだ。
それから二十年近くが経ち、私もようやく関取の一人として数えてもらえるようになった。出版社には私の本を売って、どんどん稼いでもらいたい。で、その稼ぎを新人作家たちに投入する。これですべでが丸くおさまるはずだった。
ところがこの二十年の間に出版業界を取り巻く環境は激変した。図書館は利用者のリクエストに応えて、どんどんとベストセラー本を置くようになり、ブックオフの店頭には発売間もない新刊本が並ぶようになった。
それのどこが悪い、という声が聞こえてきそうだ。利用者や消費者の利益になることだからいいことじゃないか、と。
たしかに好きな本がただで読めたり、安く買えたりすれば、読者としてはうれしいだろう。だが最初に述べたように、図書館やブックオフがどんなに賑わっても、出版業界には一銭も入ってこないのだ。
もちろん、図書館やブックオフの利用者は、それらがなくなったからといって、書店で新刊本を買うわけではないだろう。ただだったり、安かったりするから利用するのだ。そんなことはわかっている。
だが忘れないでもらいたい。図書館にある本やブックオフにある本を作るのに、誰がお金を払っているのか、を。
税金もブックオフの売り上げも、本の製作には無関係だ。よく図書館を、「税金で成り立っている」という人がいるが、税金だけでは成り立たない。肝心の本がなければただの建物にすぎない。
この世に新しい本が生み出されるのは、書店で正規の料金を払って本を買ってくれる読者の方々のおかげである。図書館やブックオフに本があるのが、その人たちが出費してくれているからだ。
制度改革についてここで主張する気はない。そんなスペースもない。しかしせめていっておきたい。図書館やブックオフを利用する事を、まかり間違っても、「賢い生活術だ」と思ってもらいたくない。そう考えることは、出版業界を支えている購買読者たちへの、とんでもない侮辱である。〜


という、文章でした。
少しでもモノづくりに携わる人なら、わかりますよね。
言うまでもないけど、「本」ってのは一つの例でしかなくて、東野さんが「相撲」に置き換えているように、もちろん様々な業種に言えてることだと思います。
音楽業界だってもちろん。
先に断っておけば、自分ももちろん過去にブックオフや図書館のお世話になったこと、あります。数え切れないくらい。
しかし大事なのは、東野さんが述べたことをしっかり理解しているかどうか、ということだと思うんですよね。
彼が言っている通り、ブックオフでいくら本やCDが売られていても、作者には何の利益にもならないんですよね。戦後なんかの闇市とかに例えたら怒られちゃうかな・・・
ただ自分の考えとしては、「キッカケ」としては、そういうお店を利用するのは大いにアリだと思うんですよね。それが正規のルートで購入することに繋がるならば。
例えば・・・
「このアーティスト、前から気になってて、聴いてみたいと思ってたんだよな。安いし、買ってみよう!→おースゲェイイな!気に入った。→ヨシ!このアーティストの音源を全部揃えよう!→CDショップへ足を運ぶ。」
という流れならば、まぁ完璧ではないですけど、作者に敬意を払っている事には、なりませんかね?それに加えてもちろん、正規のルートで買い物する場合、自分らみたいな貧乏人にとってはいささかお財布に優しくない場合もありますからね。
「知る機会」として、そういうお店を利用することくらい妥協しなければ、読みたい本や聴きたいCDに、追いつけません。笑 ブックオフ通いしてても、追いつかないくらいで・・・貧乏な俺が悪い 笑
まぁでも、今回この記事を読んで、同じ「発信するサイドの人間」として、やっぱり無視はできないっす。
ってことで、自分が敬意を払うアーティストや作品に関しては、なるべく正規のルートで購入することを、心がけようと、思います。
だってさ、好きな作家やアーティストなら、
「もっと聴きたい・もっと読みたい」
って思うよね?
ならしっかりと正規のルートで買って、作り手に次の作品を作ってもらうことに貢献できればなって思うですよ。
以上、うまくまとまったかどうかはわかりませんが、東野さんの力を大いに借りて、考えてみました。
長くなりました。読んでくれたアナタ、ありがとう!
本屋さん、CD屋さんに行きましょう!

キレイゴトっすかね?
や、だってさーーー、
CREEPSの作品がブックオフにあればさ、やっぱせつねぇもん 笑
死ぬ気でいい作品創るからさ、正規ルートで、CD屋さんで注文してもらえれば、う、嬉しいっす・・・


posted by 成田翔一 at 15:04| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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